別れの涙笹
【マップ位置 C9】
今から約700年近くの昔、「えげんさん」が京へ上られるとき、いよいよ伊深から加治田へと川を渡るところで別れを惜しんだのは村人だけではありませんでした。えげんさんとともに働いた牛も別れを惜しんで涙を流し、その涙が道端の笹の葉先を白く枯らしたと言い伝えられており、「別れの涙笹」と呼ばれています。えげんさんにまつわるいくつかの逸話のなかで唯一「おとぎ話」的な話ですが、それほどにえげんさんを慕う気持ちが強かったことが伝わってくる話でもあります。
この笹は正式には「おかめ笹」という種類で、今でもこの場所に生えているほか、川の土手や山すそなど伊深のあちこちで見ることができます。
伊深では昔からこの笹を食器や野菜を干す編みかごとして利用してきた伝統があり、丈夫なため重宝に使われてきましたが、今では利用の場が減ってしまいました。