伊深温泉跡
【マップ位置 E8】
昭和7年から終戦直後までの間、天王に「伊深温泉・雅仙楼」という温泉旅館があり、バスなどで遠くは名古屋・近畿・関東からも客が訪れる繁盛ぶりでした。これは地元の実業家渡邉新一氏が字下河原田(現在のゴルフ場の南)の冷泉から約2km、鉄菅を敷設して沸かしたもので、ラジウム分を含んでいたため、皮膚病・胃腸病・痛風などにきくとして人気を博したそうです。
また、当時伊深は松茸の一大産地で秋の松茸狩りのシーズンには川浦川・高木山の岩山の風景や松茸の佃煮のみやげをめあてに団体客でにぎわったといいます。
今でも日帰り温泉は各地で人気を集めていますが、当時の伊深でこれだけの規模の温泉施設があったことは驚くばかりです。
渡辺氏は川浦川の牛牧上流にいち早く水力発電所を設置し、伊深をはじめ蜂屋・山之上などにも送電していたという実績もあり、現代の私たちが見習うべき企業家精神の持ち主であったようです。
▲伊深温泉全景
▲渡邉新一氏(撮影時 77歳)
▲当時の案内看板(左 『蓬莱仙峡 伊深温泉 雅仙樓(がせんろう)電 加治田局8番』と書いてあります)とマッチ箱 (右)